ベレンコ中尉亡命とは?その後現在は?

1976年にベレンコ中尉亡命事件というのがあったそうです。
函館空港にソ連の戦闘機が緊急着陸したというのです。
最近中国の領海や領空侵犯が頻繁に行われていますが、威嚇したり横切ったりするだけでも騒ぎになっています。
このベレンコ中尉亡命事件というのはなんと日本の函館に着陸したというのですから、これがどれほど緊張の走る出来事だったかというのが分かりますね。
当時日本は騒然となったそうですが、一体なにが起こったのでしょうか?
ベレンコ中尉亡命事件とは?
ソ連の戦闘機が領空侵犯
事件の名前にあるベレンコとは人の名前のことです。
1976年9月1日、日本の航空自衛隊のレーダーが北海道西180キロのところを時速800キロで飛行する識別不明の物体を発見しました。
これに気づいた航空自衛隊は即緊急発進。
領海侵犯になる恐れがあるとして、航空自衛隊が警告・警備に向かいます。
しかしこの識別不明機は警告を聞かず、なおも日本に進んでいきます。
識別不明機はなおも飛行を続け、北海道からわずか20キロの所まで近づいていきます。
識別不明機はこのとき日本の領空侵犯を犯しました。
ここから10分にわたり自衛隊は警告を出し続けたそうですが、無視したそうです。
すぐに航空自衛隊も追跡に向かいますが、識別不明機を見失ってしまいます。
当時、日本の戦闘機は低空を飛行する目標を探知する性能が弱かったのです。
識別不明機はソ連のMIG25という戦闘機で、なんと最高で時速3000キロも出る戦闘機でした。
このソ連戦闘機は日本の低空を飛行し、航空自衛隊から姿を隠したのです。
そして遂に北海道に強行着陸。
この時世の中は米ソの冷戦真っ最中でした。
仮想敵国ソ連の最新戦闘機が、日本本土まで到達するという前代未聞の大事件だったのです。
もしこの戦闘機が日本を攻撃する気で、日本にやってきたのなら大被害が出ていますからね。
強行着陸
強行着陸し、機体から出てきたベレンコ中尉は銃を取り出して空にむけて発泡したそうです。
後にわかったことですが、この行動は「抵抗の意思がないことを示すためだった」と言っていたようです。
それならなぜ発泡する必要があったのでしょうか?
両手を上げておけばいいだけだと思うのですが・・・
そして空港周辺は北海道警察によって完全に封鎖され、ベレンコ中尉は取り調べを受けることになります。
アメリカへの亡命
ベレンコ中尉はアメリカへの亡命を考え、日本へ向かってきました。
当初は千歳空港を目指していたものの、天候が曇っていたため急遽函館空港に進路を変えたようです。
当然ソ連はベレンコ中尉の身柄や戦闘機の引き渡しを要求しましたが、ベレンコ中尉は東京に移され、8日はアメリカが亡命受け入れを通告しました。
ソ連大使館印がベレンコ中尉との面会で意思確認をするが、ソ連に帰るつもりはなく、アメリカに向かうことになりました。
今、近隣の北朝鮮でも頻繁に脱北というものが行われていますよね。
あれに近い感じのコトだと思うのですが、ソ連の最新鋭戦闘機に乗って直接北海道に強行着陸しましたからね。
よほどの何かがあったのでしょう。
なぜ亡命したのか?
ベレンコ中尉はの亡命理由については様々な説があるそうです。
ベレンコ中尉が元々CIAの協力者だったという説や、ソ連での待遇が悪く妻と不仲だったという説もあります。
後者の、ソ連での不待遇や妻との不仲が有力な理由だと言われています。
また聴取の時には「アメリカに最新戦闘機のデータを渡すため」とも話しているようです。
国際的なニュースになるようなことを一個人が行ったわけですが、その理由が戦闘機乗りの不遇と妻との不仲というのは意外でしたね。
やっぱりどんな大きい犯罪や事件も元をたどれば、人の不満や恨みなど感情が根本であることが大きいです。
今回の亡命事件にはベレンコ中尉の個人的な感情が大きく関係していると思うので、ソ連側もビックリしたでしょうね。
まさか最新鋭の戦闘機まで失ってしまうとは1ミリも想像しなかったと思います。
ベレンコ中尉の現在は?
ベレンコ中尉には周囲の危険がつきまとうため、氏名と住所を頻繁に変えていたようです。
ソ連時代には妻の他に1人の子供もいたみたいです。
亡命したあとでアメリカ人の方と結婚し、2人のお子さんが生まれたようです。
しかし、現在では離婚しています。
祖国に奥さんの他に子供もいたのに、アメリカに亡命するのはかなりの決心だったでしょうね。
また残された奥さんもきっと「お前の旦那はアメリカに亡命した!」とか言われて周囲から批難されたことも想像できます。
それらのリスクも全部想定しての亡命だったと思うので、当時のベレンコ中尉はなりふり構わない状況だったんでしょうね。
この事件が日本に与えた影響は?
当時、日本の防衛機能はかなり高水準にあると思われていました。
しかし、ソ連の戦闘機にあっさりと突破されてしまったことで、実はかなり低水準の防衛機能であったことが発覚しました。
もしこのソ連戦闘機が攻撃のために日本に来ていたらかなりの被害が出ていたことが容易に想像できます。
この事件がキッカケで防衛機能に対する日本の考えが大きく変わったのでした。
ベレンコ中尉亡命事件まとめ
・ソ連の戦闘機がアメリカ亡命のために北海道に強行着陸するという事件がありました。
・ソ連戦闘機が日本に近づいてきた時に航空自衛隊はソ連戦闘機をレーダーから見失い、日本の防衛機能がかなり低水準であることを露呈してしまいました。
ベレンコ中尉は亡命後アメリカ人女性の結婚し2人の子供を授かりましたが、現在では離婚しています。